一年遅れのベスト・ドッグ賞


11年12月28日:水 :"なんだかんだ":素晴らしい
昨年に引き続き、今年出会った犬たちの中から「犬大賞」を選ぼうと考えた。

だが、今年は異例ながらもベスト・ドッグ賞は会った事の無い犬に決定。名前はダディ。National Geographic Channel 、通称「ナショジオ」の衛星放送をご覧の方はご存じかもしれないが、『ザ・カリスマ ドッグトレーナー 〜犬の気持ちわかります〜』という番組で、そのカリスマドッグトレーナーことシーザー・ミランの”右腕”として、問題犬のリハビリを助けてきた素晴らしい犬である。間違いなく世界一有名なピットブル犬だろう。
今年になってようやくこの番組を知り、ずっと見続けている。つい先日、100エピソード記念番組が放送され、もう老犬の域に入ってきた14歳のダディが引退するという報告がシーザーからなされた。番組はアメリカでは2008年の放送。そこで近況を調べ、ダディが2010年2月に他界したことを知った。本当に残念。すごく悲しかった。でも、誰よりも悲しんでいるのは16年生活をともにしてきたシーザーだろう。私も彼の大ファン。この番組の存在を数年前から知っていれば、生前のダディに「犬大賞」を贈る事ができたのに、と。
威厳と寛容の両方を備え持ち、バランスがとれた犬、それがダディ。視聴者からの応募でシーザーが向かう問題犬のオーナー宅。落ち着きの無い犬、攻撃的な犬、支配的な犬、神経質な犬など、どんな問題犬の前でも動じることはなかった。エミー賞にノミネートされたこの番組。功績はシーザーだけではなく、ダディも同等の賞賛に値する。
私からの「犬大賞」なんて嬉しくないかもしれないけど、kisses & hugs とともに天国に送り届けま〜〜す!

そして、犬がいる家庭の皆さんには是非この番組を見ていただきたいと思う。衛星放送契約をしていないなら、DVD購入という手もある。目から鱗と言えるシーザーの犬の躾方法は必見である。英語のタイトルは『Dog whisperer with Cesar Millan』。馬の飼育者や馬術家の練習やトレーニングを称してHorse-Whisperer。ロバート・レッドフォード主演の映画でも同タイトルが登場した。馬と対話しているかのようなレッドフォード。推測するに、シーザーはたぶん馬を犬に変えたタイトルにしたのだろう。
だが、日本語のタイトルに”カリスマ”を入れたのは個人的には致命的な誤りだと思う。「あの人はカリスマ性がある」といったふうに、カリスマは優れた人に対して”他人”から発せられるなら自然だが、「自分はカリスマだ」というと単に横柄でタカピーなだけ。感じ悪い人の代表になってしまう(笑)。しかしタイトルが災いし、字幕で「ぼくはカリスマだから」というシーザーの発言が登場したことがある。ダメ飼い主がシーザーを賞賛した後に出てくる言葉だったが、もちろん彼の発言はそうではなく、dog whispererだから、と言っている。「ぼくは犬の心の声を聞いているんだよ」という意訳ぐらいにはしてほしい。

メキシコ産まれのシーザーは、祖父が経営する牧場で犬や家畜を見て育った。彼の天性もあり、幼い頃から自然界(mother nature)における動物としての犬を熟知していて、周囲からも「犬少年」と呼ばれていた。将来は犬のトレーナーになると宣言し、英語も話せず、誰一人知り合いもいないのに、21歳でアメリカに渡り(違法入国だとか)、犬の美容室、リムジンの運転手など、ドッグトレーナー以外の仕事も数多くこなしながら努力を重ね、今日の地位を固めるにいたった。女優のジェイダ・スミス(ウイル・スミスの妻)は彼の比較的初期の頃のクライアントであり、その後も友人関係が続いている。
*シーザーに教わったことをいくつか挙げたい。アドバイス全ての背景にあるのがMother Nature。つまり、自然の創造物としての犬と向き合えるかどうかがカギなのだ。
運動・規律・愛情という順番:人はどうしても愛情からスタートさせたがるが、これはダメ。だが、人間はどうしても擬人化してしまい、愛は全ての解決策だと勘違いしてしまう。
特に小型犬の場合、体重も軽くまさに愛玩犬。悪さをしても厳しく叱る事ができないオーナーが多い。また、抱っこ状態のことも多いこうした犬種。抱き上げて「ダメでちゅよー」と赤ちゃん言葉で語りかける。オーナーはリーダーとしてかばっているつもりだろうが、リーダーの座はこの時点で完全に犬に奪われている。悪化してくると、一人の人間だけに懐き、他の家族や訪問者には威嚇的になる。犬としてはパックリーダーとしてその人物を守っている自然な行為なのだが、こんな小さな犬に守られているなどとは思いも寄らないオーナーはただおろおろするばかり。シーザーによると、攻撃性や支配意識が強い例は、大型犬よりも小型犬の方に多いという。
愛情と同様に同情が先に立つのも良くないらしい。「犬は過去を引きずらない」というセリフが時折登場する。犬は「今を生きている」とシーザーの弁。虐待を受けた経験のある犬は、更生トレーニング上、その過去ゆえに手こずることはあり、その意味で犬は過去を引きずる。だが、トレーニング上での人間側の心構えに、可哀想だからといって腫れ物に触るような接し方をすることは許されない。オーナーから虐待を受けた犬は、次のオーナーの様子を見てどう接するかを決めるだけだ。可哀想という柔らかなマインドは犬には「弱い」と映り、自らがパックリーダーになる選択をする。引き取った直後のおとなしい様子を覚えているオーナーは、犬が歯向かってくる理由がわからない。助けて上げたのに、という人間の情緒は通じない。これが今を生きている犬ということ。
動物・犬・犬種という順番:人は犬種で物事を判断しがちだがそれは誤りだということ。特に攻撃性という問題を抱えた犬のオーナーは、ドーベルマンだから、ブルドッグだから、マスチフだから、と言う。シーザーに言わせれば、攻撃的な小型犬チワワと攻撃的な大型犬ピットブルにおいての違いは、例えば噛まれたときのダメージの差だけ。犬は犬種の前にまず犬という共通種であり、またその前に動物という種であり、また人間とは違う種の創造物だという認識を持たねばならない。
犬は人間を映す鏡である:人間の心を読み取る能力が備わった犬。パニックになったり落ち込んだりという時、パックリーダーである人間の精神状態をすぐさま反映。「毅然」とした態度という言葉が数多く登場するが、シーザーは英語でcalm-assertiveと言っている。訳としては毅然、でしょう。だが、ブログをご覧の皆さんがもしも自身の犬と向き合う際に「毅然」を描くなら、冷静沈着でありながら力強い主張のある態度、だと思っていただければいい。calm-assertive leadership、毅然とした態度のリーダーシップでいることは、人間界で人と接する生活上でも大切なこと。犬と暮らすということは、良き人間になるという意味でもある。これもシーザーがどこかで語っていた。大賛成!!
犬のリハビリ、人間の躾:問題犬を抱えて番組に登場するオーナーたちだが、シーザーによると問題は人間側にあって、犬側にはないそうだ。自然の法則に従って今を生きる犬は、オーナーの態度に合わせて、その群れの一員として立ち位置を決めているだけ。つまり、人間の側の話を聞けば解決法はおのずと見えてくる。問題は接し方を知らない人間の側に例外無く存在する。BBCの番組出演時、見も知らない問題犬にどうやって対応できるのかと、不思議がる司会者の質問があった。シーザーの答えが面白い。「問題犬はただ唸っていたり、噛み付こうとしたりするだけで、原因があっての自然な結果を見せているだけ。次に人間の話を聞けば、その原因が人間にあり、問題は簡単に見えてくる」。
Rehabilitate dogs, train people。彼が番組中でもよく使う言葉。問題犬はリハビリが必要だが、トレーニングが必要なのは人間の方だということだ。私も今後は犬の躾と言わず、リハビリと言う事にしようかと思う。私が知る中でも、確かに常に問題は人間の側にある。
この番組は、イギリスやオーストラリアまで遠征したそうだ。そして2012年1月からはアメリカで次のシーズンがスタートするとのこと。今後も鷹援していきたい。頑張れ〜シーザー、We love you!

だが、今年は異例ながらもベスト・ドッグ賞は会った事の無い犬に決定。名前はダディ。National Geographic Channel 、通称「ナショジオ」の衛星放送をご覧の方はご存じかもしれないが、『ザ・カリスマ ドッグトレーナー 〜犬の気持ちわかります〜』という番組で、そのカリスマドッグトレーナーことシーザー・ミランの”右腕”として、問題犬のリハビリを助けてきた素晴らしい犬である。間違いなく世界一有名なピットブル犬だろう。
今年になってようやくこの番組を知り、ずっと見続けている。つい先日、100エピソード記念番組が放送され、もう老犬の域に入ってきた14歳のダディが引退するという報告がシーザーからなされた。番組はアメリカでは2008年の放送。そこで近況を調べ、ダディが2010年2月に他界したことを知った。本当に残念。すごく悲しかった。でも、誰よりも悲しんでいるのは16年生活をともにしてきたシーザーだろう。私も彼の大ファン。この番組の存在を数年前から知っていれば、生前のダディに「犬大賞」を贈る事ができたのに、と。
威厳と寛容の両方を備え持ち、バランスがとれた犬、それがダディ。視聴者からの応募でシーザーが向かう問題犬のオーナー宅。落ち着きの無い犬、攻撃的な犬、支配的な犬、神経質な犬など、どんな問題犬の前でも動じることはなかった。エミー賞にノミネートされたこの番組。功績はシーザーだけではなく、ダディも同等の賞賛に値する。
私からの「犬大賞」なんて嬉しくないかもしれないけど、kisses & hugs とともに天国に送り届けま〜〜す!

そして、犬がいる家庭の皆さんには是非この番組を見ていただきたいと思う。衛星放送契約をしていないなら、DVD購入という手もある。目から鱗と言えるシーザーの犬の躾方法は必見である。英語のタイトルは『Dog whisperer with Cesar Millan』。馬の飼育者や馬術家の練習やトレーニングを称してHorse-Whisperer。ロバート・レッドフォード主演の映画でも同タイトルが登場した。馬と対話しているかのようなレッドフォード。推測するに、シーザーはたぶん馬を犬に変えたタイトルにしたのだろう。
だが、日本語のタイトルに”カリスマ”を入れたのは個人的には致命的な誤りだと思う。「あの人はカリスマ性がある」といったふうに、カリスマは優れた人に対して”他人”から発せられるなら自然だが、「自分はカリスマだ」というと単に横柄でタカピーなだけ。感じ悪い人の代表になってしまう(笑)。しかしタイトルが災いし、字幕で「ぼくはカリスマだから」というシーザーの発言が登場したことがある。ダメ飼い主がシーザーを賞賛した後に出てくる言葉だったが、もちろん彼の発言はそうではなく、dog whispererだから、と言っている。「ぼくは犬の心の声を聞いているんだよ」という意訳ぐらいにはしてほしい。

メキシコ産まれのシーザーは、祖父が経営する牧場で犬や家畜を見て育った。彼の天性もあり、幼い頃から自然界(mother nature)における動物としての犬を熟知していて、周囲からも「犬少年」と呼ばれていた。将来は犬のトレーナーになると宣言し、英語も話せず、誰一人知り合いもいないのに、21歳でアメリカに渡り(違法入国だとか)、犬の美容室、リムジンの運転手など、ドッグトレーナー以外の仕事も数多くこなしながら努力を重ね、今日の地位を固めるにいたった。女優のジェイダ・スミス(ウイル・スミスの妻)は彼の比較的初期の頃のクライアントであり、その後も友人関係が続いている。
*シーザーに教わったことをいくつか挙げたい。アドバイス全ての背景にあるのがMother Nature。つまり、自然の創造物としての犬と向き合えるかどうかがカギなのだ。
運動・規律・愛情という順番:人はどうしても愛情からスタートさせたがるが、これはダメ。だが、人間はどうしても擬人化してしまい、愛は全ての解決策だと勘違いしてしまう。
特に小型犬の場合、体重も軽くまさに愛玩犬。悪さをしても厳しく叱る事ができないオーナーが多い。また、抱っこ状態のことも多いこうした犬種。抱き上げて「ダメでちゅよー」と赤ちゃん言葉で語りかける。オーナーはリーダーとしてかばっているつもりだろうが、リーダーの座はこの時点で完全に犬に奪われている。悪化してくると、一人の人間だけに懐き、他の家族や訪問者には威嚇的になる。犬としてはパックリーダーとしてその人物を守っている自然な行為なのだが、こんな小さな犬に守られているなどとは思いも寄らないオーナーはただおろおろするばかり。シーザーによると、攻撃性や支配意識が強い例は、大型犬よりも小型犬の方に多いという。
愛情と同様に同情が先に立つのも良くないらしい。「犬は過去を引きずらない」というセリフが時折登場する。犬は「今を生きている」とシーザーの弁。虐待を受けた経験のある犬は、更生トレーニング上、その過去ゆえに手こずることはあり、その意味で犬は過去を引きずる。だが、トレーニング上での人間側の心構えに、可哀想だからといって腫れ物に触るような接し方をすることは許されない。オーナーから虐待を受けた犬は、次のオーナーの様子を見てどう接するかを決めるだけだ。可哀想という柔らかなマインドは犬には「弱い」と映り、自らがパックリーダーになる選択をする。引き取った直後のおとなしい様子を覚えているオーナーは、犬が歯向かってくる理由がわからない。助けて上げたのに、という人間の情緒は通じない。これが今を生きている犬ということ。
動物・犬・犬種という順番:人は犬種で物事を判断しがちだがそれは誤りだということ。特に攻撃性という問題を抱えた犬のオーナーは、ドーベルマンだから、ブルドッグだから、マスチフだから、と言う。シーザーに言わせれば、攻撃的な小型犬チワワと攻撃的な大型犬ピットブルにおいての違いは、例えば噛まれたときのダメージの差だけ。犬は犬種の前にまず犬という共通種であり、またその前に動物という種であり、また人間とは違う種の創造物だという認識を持たねばならない。
犬は人間を映す鏡である:人間の心を読み取る能力が備わった犬。パニックになったり落ち込んだりという時、パックリーダーである人間の精神状態をすぐさま反映。「毅然」とした態度という言葉が数多く登場するが、シーザーは英語でcalm-assertiveと言っている。訳としては毅然、でしょう。だが、ブログをご覧の皆さんがもしも自身の犬と向き合う際に「毅然」を描くなら、冷静沈着でありながら力強い主張のある態度、だと思っていただければいい。calm-assertive leadership、毅然とした態度のリーダーシップでいることは、人間界で人と接する生活上でも大切なこと。犬と暮らすということは、良き人間になるという意味でもある。これもシーザーがどこかで語っていた。大賛成!!
犬のリハビリ、人間の躾:問題犬を抱えて番組に登場するオーナーたちだが、シーザーによると問題は人間側にあって、犬側にはないそうだ。自然の法則に従って今を生きる犬は、オーナーの態度に合わせて、その群れの一員として立ち位置を決めているだけ。つまり、人間の側の話を聞けば解決法はおのずと見えてくる。問題は接し方を知らない人間の側に例外無く存在する。BBCの番組出演時、見も知らない問題犬にどうやって対応できるのかと、不思議がる司会者の質問があった。シーザーの答えが面白い。「問題犬はただ唸っていたり、噛み付こうとしたりするだけで、原因があっての自然な結果を見せているだけ。次に人間の話を聞けば、その原因が人間にあり、問題は簡単に見えてくる」。
Rehabilitate dogs, train people。彼が番組中でもよく使う言葉。問題犬はリハビリが必要だが、トレーニングが必要なのは人間の方だということだ。私も今後は犬の躾と言わず、リハビリと言う事にしようかと思う。私が知る中でも、確かに常に問題は人間の側にある。
この番組は、イギリスやオーストラリアまで遠征したそうだ。そして2012年1月からはアメリカで次のシーズンがスタートするとのこと。今後も鷹援していきたい。頑張れ〜シーザー、We love you!