女性活用発展途上国SadFoot in MouthEmbarrassed

「オレゴンから愛やなく、東京から愛にして欲しいもんやわ」。民放を見ていた頃、こんな芸能ニュースが流れていたことを思い出した。大竹しのぶとの離婚後に、芸能リポーターか誰かにコメントを伝えている明石家さんまの姿だった。聞き漏らした言葉はあるかもしれないが、ほぼこんな感じだったと思う。つまり、離婚に至った理由の一つとして、このセリフが出てきたわけだ。『オレゴンから愛』というドラマ撮影のためにアメリカに長期滞在する大竹しのぶ。当時はまだ幼児だったIMALU。大竹しのぶがアメリカにいる間に熱を出したIMALUのことも伝え、その間自分がどれだけ仕事と子育ての両立が大変だったか、確かそんな”意味合い”のことを喋っていた。”母親”ともあろう者が幼子を”夫”に預けて家を長期間留守にするとは、主婦としてなにごとか。これが明石家さんまの本音だったのだろう。

先の文言を男女逆に考えたらどうだろう。”父親”ともあろう者が幼子を”妻”に預けて家を長期間留守にするとは、主夫としてなにごとか。明石家さんまがロケでアメリカ。忙しい俳優業を抱えながらも大竹しのぶは家事との両立を計る。だがこれが批難されることはあり得ない。聴衆が納得するのは明石家さんまの弁なのだ。これは何故か理屈抜きだったのである。男女平等の感覚が”比較的”浸透している芸能界であっても、それを支えるのは聴衆。”男なみ”に稼ぐ女優であっても、子育てや家事との両立をしっかりと行う。聴衆はその”主婦像”に賛同し感動するが、子育てそっちのけは疎まれる存在だった。

二人が離婚したのは1992年。18年も前のことの”はず”だったが、新聞の見出しに『「日本は57位」乏しい実感』とある。国連機関が公表する女性の活躍度指標「ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)」で、2009年度の日本は109カ国中の57位とある。国会議員、管理職、専門・技術職の女性比率、男女の賃金格差などをもとに指数をはじき出したランキングがこれ。他の先進国が上位に位置していることは言うまでもない。ちなみに、日本のすぐ上、56位はキルギス、55位はベネズエラ、54位はホンジュラス。

働きたいが子供を預ける場所がないという女性の悲鳴。一方、この不景気で、夫の収入だけでは不足であり働かざるを得ないが子供を預ける場所がないという女性の悲鳴もある。行政の場面でも女性の首長はほとんど無いに等しく、政治の場面ではニュースに出る議員のほとんどは男性。テレビ界でも(たぶん)まだ”女子アナ”のままだろう。

実際のところ今もまだ”家事の中心”は女性が担い手というケースの方が多く、それを求める女性も少なくはないというのが現実ではないだろうか。だから決して奇麗ごとを言うつもりはない。だが、働きたいと考える女性が普通に対等に働ける社会基盤が整っていれば、もうちょっと良い方向に切り替わるのではないかと思う。